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追悼、植木等

私が植木等と出会ったのは、六歳のときにいった、大阪・梅田コマ劇場の「クレージーキャッツ・ショー」でした。ギャグだけの連発の吉本新喜劇と違って、しっかりとした喜劇舞台の中でギャグがちりばめられる芝居と、ギャグ満載の音楽ショーが続いた三時間あまりのショーに腹を抱えて笑ったことで、すっかり植木等のファンになった私は、テレビの「シャボン玉ホリデー」や「大人の漫画」だけでなく、映画も見まくりました。

Uekisan

映画では、どちらかと言うとサラリーマン主体の「無責任シリーズ」が評価されているようですが、私は、泥棒になったり悪人退治に向かったりする、「クレージーシリーズ」が好きでした。特に、洋画「黄金の七人」を下敷きにした、軽妙でスタイリッシュなドタバタ喜劇を見せたときは、映画館でひっくり返って笑い、植木等の軽妙な演技に感心したものでした。

映画が斜陽になり、「シャボン玉ホリデー」が終わったあと、植木等は性格俳優を目指します。テレビ・ドラマでの演技が多かったのですが、私が好きだったのは「名古屋嫁とり物語シリーズ」という内容だった二時間ドラマのシリーズもので、頑固なオヤジを演じたものでした。三重出身の植木等にとって、名古屋の親父を演じるのは自分の父親を演じるような感じだったのか、持ち前の軽妙さに加えて生真面目さを前面に押し出してみせていて、植木自身を出していた演技は、とても面白く感じたものです。

植木等の父親は、国家権力に反抗し、部落解放に心血を注いだと言います。植木等は、そんな父親を尊敬していたことで、本人自身は生真面目な性格だったようでした。あの名曲「スーダラ節」を歌う前も、「こんなひどい唄は歌えない」と怒りまくっていたそうです。でも、父親からの説得もあり、歌うことを決めて以降は、植木等の人気もキャラクターも決定づけるものとなったのですから、人生は面白いものだと思います。

もう、植木等のようなスタイリッシュで軽妙な喜劇人は出ないでしょう。ご冥福を心より祈ります。

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